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日韓マーケット解説

【解説 第1回】日韓マーケットを「3つの層」で見る方法

この記事は、日韓の市場を並べて見るときに知っておきたい基本を解説するシリーズです。記事中の数字・制度は2026年11月2日時点で確認したものです。

この記事で分かること

  • このブログが日本と韓国の市場を「3つの層」に分けて見ている理由
  • 各層で何を記録しているか(韓国の金利・株価指数・金市場の基本を含みます)
  • 層をまたぐ「連鎖」の仮説を毎週どう確かめているか、なぜ日韓共通の取引日だけで比べるのか

なぜ日本と韓国を一緒に見るのか

日本と韓国の市場には、同じ業種の企業が並んでいます。半導体では、日本に製造装置や検査装置のメーカーがあり、韓国にはメモリ半導体のメーカーがあります。鉄鋼や自動車にも、日韓それぞれに代表的な企業があります。

片方の市場だけでは、値動きが「その国だけの事情」なのか「両国に共通する外の事情」なのかを区別しにくくなります。日韓を並べると、同じ出来事に両国がそろって反応したのか、片方だけが動いたのかが見えてきます。

ただ、並べるだけでは原因と結果が整理できません。そこでこのブログでは、原因から結果までを3つの層に分けて記録しています。

3つの層とは

3つの層とは

出所:筆者作成(2026年11月2日時点で毎日または毎月記録している指標)

上から順に「原因 → 伝わる道 → 結果」と並べています。

1層:世界情勢(原因)

米国・欧州・台湾・中東の4地域です。地域ごとに毎日または毎月の指標を2〜4個に絞り、ニュースはその数字を動かした出来事だけを記録しています。

地域記録している主な数字
米国米FRB政策金利(FF金利の誘導目標の上限)、米国10年債利回り、ドルインデックス、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)
欧州ECB預金ファシリティ金利、ドイツ10年債利回り、ユーロ/ドル
台湾台湾加権指数、TSMC月次売上高、台湾の電子部品輸出(月次)
中東ドバイ原油、ブレント原油

台湾を独立させているのは、半導体の最も直接的な原因になりうると考えているためです。

2層:日韓の金利・国債(伝わる道)

1層の出来事の一部は、金利を通じて日韓に伝わると考えています。2層はその通り道で、ここ自体も毎週の記録の対象です。為替(円/ウォン)は3層で記録しています。

日本側は、日銀の政策金利と日本10年国債利回りです。日銀は金融政策決定会合で政策金利を決めており、2026年の会合は8回組まれています(日本銀行)。10年国債利回りは財務省の国債金利情報で記録しています。

韓国側は少し詳しく説明します。

  • 韓国銀行の政策金利:韓国銀行(Bank of Korea)は韓国の中央銀行です。政策金利(Base Rate)は、韓国銀行の最高意思決定機関である金融通貨委員会が、年8回の定例会合で決めます(韓国銀行)。
  • 韓国国債3年物・10年物:韓国政府が発行する国債で、韓国では「国庫債(KTB:Korea Treasury Bonds)」と呼ばれます(韓国政府の国庫債情報サイト)。日々の利回りは、韓国金融投資協会の債券情報センターの公開画面で記録しています。

3層:日韓の対象(結果)

① 半導体:装置 ↔ メモリ 日本側は東京エレクトロン(8035)とアドバンテスト(6857)です。東京エレクトロンは半導体をつくるための装置の開発・製造・販売を行い(東京エレクトロン)、アドバンテストは半導体が正しく動くかを調べる「半導体テスタ」を主力製品としています(アドバンテスト)。韓国側はサムスン電子(005930、韓国)とSKハイニックス(000660、韓国)で、どちらもDRAMなどのメモリ半導体を手がけています(サムスン電子、SKハイニックス)。

② 円/ウォン → 輸出株 円/ウォンは「100円=○○ウォン」で表し、数字が大きいほど円高・ウォン安です(韓国のハナ銀行の告示レート、Daum金融で記録)。これと、日本製鉄(5401)・トヨタ自動車(7203)、POSCOホールディングス(005490、韓国)・現代自動車(005380、韓国)を並べて見ます。

韓国株の動きから韓国市場全体の動きを差し引くために、KOSPI(韓国総合株価指数)も記録しています。KOSPIは韓国取引所のメイン市場(KOSPI市場)の株価指数で、時価総額をもとに、1980年1月4日を100として計算されています。サムスン電子・現代自動車・POSCOホールディングスもこの市場の上場企業です(韓国取引所)。

③ 金の国内プレミアム 日本では田中貴金属が営業日ごとに公表する金の店頭小売価格(税込)を(田中貴金属)、韓国では韓国取引所(KRX)の金市場の価格を記録しています。KRX金市場は2014年3月24日に開設された金の現物市場で、純度99.99%の金を1グラム単位で売買できます。市場内の売買には付加価値税がかからず、金を現物で引き出すときに10%の付加価値税がかかる仕組みです(韓国取引所)。

このブログでは、KRXの金価格が、田中貴金属の価格を円/ウォンでウォンに換算した値を何%上回るか(比率)を「国内プレミアム」と呼んでいます。ただし、消費税込みの店頭価格と付加価値税がかからない取引所価格は性格が違うため、比率の水準そのものは比べず、週ごとの変化だけを見ます。

なぜこう分けるのか

理由は3つあります。

  1. どこが合い、どこが外れたかを分けて確かめるため:「何が起きて、どこを通って、何が動いたか」を分けて書いておくと、つながりを一つずつ点検できます。
  2. 日韓の差が生まれる場所を独立させるため:同じ世界の出来事でも、日銀と韓国銀行の対応が同じとは限りません。日韓で反応が分かれる場所として、金利・国債を別の層にしています。
  3. 金利を通らずに届く経路もあるため:図の点線のように、世界情勢が直接、半導体株や金価格に届く経路は「1層→3層」として別に記録します。

連鎖の例:仮説を置いて、毎週確かめる

連鎖の例:仮説を置いて、毎週確かめる

出所:筆者作成(2026年11月2日時点、いずれも判定前)

層をまたぐつながりを、このブログでは「連鎖」と呼び、仮説として書き出しています。どれも「こういう経路があるのではないか」という仮定で、正しいと分かっているものではありません。

  • 例1(1層→2層→3層):中東の緊張で原油価格が上がると、日本の金利(10年国債利回り)の上昇が鈍り、円がウォンに対して安くなり、韓国の鉄鋼・自動車株が日本の同業より相対的に弱くなる、という経路です。
  • 例2(1層→3層):米国の金利が下がり(利下げを含みます)、ドル安になると、ウォン高の幅が円高の幅より大きくなり、「100円=○○ウォン」の数字が小さくなる、という経路です。
  • 例3(1層→3層、時間差あり):台湾の半導体輸出や株価が伸びると、まず日本の装置株が反応し、韓国のメモリ株が数日遅れて続く、という経路です。
  • このほか、中東の緊張が金価格を通じて韓国の金の国内プレミアムを広げる、という経路も記録しています。

確かめ方は、連鎖を矢印ごとのつながりに分け、毎週、原因側と結果側の1週間の変化の向きが仮説どおりだったかを記録するというものです。変化が小さすぎる週は判定から外します。判定は「8週間のうち何週、向きが合ったか」(月次の指標が原因のつながりは「6か月のうち何か月」)で行うため、それだけの記録がたまるまでは、記録だけを続けます。

時刻にも注意します。初回の週刊レポートでは、米半導体株の急落が東京・ソウルの取引終了後だったため、同じ日の日韓の値動きとは結びつけませんでした。

日韓共通の取引日で比べる理由

日韓共通の取引日で比べる理由

出所:日本取引所グループ、韓国取引所(2026年11月2日確認)

日本と韓国は祝日が違うため、片方の市場だけが休む日があります。2026年10月5日〜11月6日の平日25日では、10月5日(開天節の振替休日)と10月9日(ハングルの日)は韓国だけが休場、10月12日(スポーツの日)と11月3日(文化の日)は日本だけが休場です(日本取引所グループ、韓国取引所、同・韓国語版)。

片方が休んだ日を混ぜると、休場中の出来事の影響が再開した日の1日分にまとめて表れ、「同じ日に日韓がどう動いたか」の比較がずれてしまいます。そこでこのブログでは、日韓がともに開いていた日だけを並べ、その日どうしの変化で比べています。韓国株は、正規の取引時間の終値(正規取引終値)を使い、時間外取引の価格は混ぜません。

日韓を一緒に見ると

この構造で、次のように記録を続けます。

いつ記事内容
毎日(記録のみ)3つの層の数字と、それを動かした出来事
週の半ば週央チェック前回の週刊レポートの注目ポイントが、週の途中までどう動いたかを数字だけで確認
週末週刊レポート1週間のまとめ、つながりごとの答え合わせ、次週の注目ポイント

答え合わせは外れも隠さずに載せます。サンプルが少ないうちは、結論ではなく方向の確認としてお読みください。

まとめ

  • 1層は世界情勢(原因)、2層は日韓の金利・国債(伝わる道)、3層は日韓の対象(結果)です。
  • 層をまたぐ「連鎖」は仮説です。つながりごとに毎週、向きが合っていたかを記録しており、2026年11月2日時点ではどれも判定前です。
  • 休場日のずれによる誤差を避けるため、日韓共通の取引日だけで比べています。

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出所


筆者の保有:なし

本記事は個人が公開資料をもとにまとめた解説であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。