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日韓マーケット解説

【解説 第2回】円/ウォンが動くと日韓の鉄鋼・自動車株は?

この記事は、日韓の市場を並べて見るときに知っておきたい基本を解説するシリーズです。記事中の株価・為替の数字は2026年11月2日終値時点、制度や企業資料は2026年11月3日に確認したものです。

この記事で分かること

  • 「100円=○○ウォン」の読み方と、ドルとの計算上の関係
  • 為替が輸出企業の利益にどう関わるか(トヨタ自動車と現代自動車の公表資料から)
  • このブログが鉄鋼・自動車を「日韓の差(スプレッド)」で見る理由と、韓国市場全体の動きを差し引く計算

「100円=○○ウォン」の読み方

このブログでは、円とウォンの交換比率を「100円=○○ウォン」で表しています。数字が大きいほど円高・ウォン安です。同じ100円で受け取れるウォンが増えるので、円の価値がウォンに対して上がったことになります。値は韓国のハナ銀行が告示するレートで、Daum金融で記録しています。

「100円=○○ウォン」の読み方

出所:筆者作成(②の数字は説明用の例で、実際の相場ではありません)

円もウォンもドルとの交換比率があるので、計算上は「100円あたりのウォン=(1ドルあたりのウォン÷1ドルあたりの円)×100」という関係になります。図の例のように、ウォンがドルに対して安くなっても、円がドルに対して高くなっても、この数字は大きくなります。円/ウォンが動いた日は、「円が動いたのか、ウォンが動いたのか」の両方を考える必要があります。

為替は輸出企業の利益にどう関わるか

為替が企業の利益に関わることは、企業自身が決算の資料や発表で説明しています。

トヨタ自動車(7203)は、営業利益が増減した理由の一つとして「為替変動の影響」を示しています。2026年4〜6月期は、前年同期と比べて米ドルが145円から160円へと15円の円安になり、為替変動の影響は営業利益を3,450億円押し上げる方向でした。内訳で最も大きいのは「輸出入等の外貨取引分」の+3,350億円です。ただし、営業利益全体は原価や諸経費などの影響もあり、前年同期より1,026億円減っています(トヨタ自動車「2027年3月期 第1四半期決算」、2026年8月4日)。

韓国側では、現代自動車(005380、韓国)が2026年7〜9月期の決算発表で、営業利益が前年同期比5.5%増の2.68兆ウォンになった理由として、為替が有利に働いたこと、コストの最適化、販売構成の改善を挙げています。同じ期の世界での販売台数(卸売)92万710台のうち、韓国以外での販売は78万9,242台でした(現代自動車、2026年10月29日)。

このブログは、ここからもう一歩進めて「円とウォンの相対的な動きが、日韓の同業のどちらに有利に表れるか」を見ています。具体的には、円高・ウォン安の日(数字が大きくなる日)には、韓国の鉄鋼・自動車株が日本の同業より相対的に強くなるのではないか、という仮説です。確かめている最中の仮説で、正しいと分かっているものではありません。

なぜ「日韓の差(スプレッド)」で見るのか

自動車株や鉄鋼株は、為替のほかにも、世界の需要、関税などの通商政策、その国の株式市場全体の動きなど、多くの理由で動きます。片方の国の株だけを見ていると、その日の値動きのどれだけが為替によるものかを分けられません。

そこでこのブログでは、日韓で同じ業種の会社を組にして、「韓国株の前日比 − 日本の同業株の前日比」を「差(スプレッド)」として記録しています。

業種韓国日本
鉄鋼POSCOホールディングス(005490、韓国)日本製鉄(5401)
自動車現代自動車(005380、韓国)トヨタ自動車(7203)

両国の同業に同じように効く出来事は、引き算で打ち消し合うことが期待できます。残った差には、為替のように両国で条件が違う事情が表れやすくなると考えています。差がプラスなら韓国株が、マイナスなら日本株が相対的に強かったことを示します。

なぜ「日韓の差(スプレッド)」で見るのか

出所:株探、Daum金融(韓国株は正規取引終値、円/ウォンはハナ銀行告示)、2026年10月30日終値時点

10月28日〜30日の例です。韓国株だけを見ると、POSCOホールディングスも現代自動車も「28日に上がり、29日に下がった」だけです。日本の同業と並べると、円/ウォンが+1.2%(円高・ウォン安)だった28日は差がプラス(鉄鋼+3.1、自動車+3.5%ポイント)、−0.2%だった29日はマイナス(鉄鋼−2.6、自動車−2.0%ポイント)でした。円/ウォンの変化が−0.085%と小さかった30日は日韓とも下げ、差は鉄鋼−0.3、自動車−3.4%ポイントでした。

ただし3日間の観察で、ここから結論を出せる数ではありません。また、この「単純な差」には弱点があります。

韓国市場全体の動きを差し引く

韓国の株式市場全体が大きく動いた日は、単純な差に、為替とは別の「韓国市場全体がその日どう動いたか」も含まれてしまいます。そこで現在は、韓国株の前日比からKOSPI(韓国総合株価指数)の前日比を引いてから日本株と比べる値を主な指標にし、単純な差は補助として並べて記録しています。KOSPIは韓国取引所のメイン市場(KOSPI市場)の株価指数で、1980年1月4日を100として時価総額をもとに計算されています(韓国取引所)。

  • 単純な差 = 韓国株の前日比 − 日本株の前日比
  • KOSPIを差し引いた差 =(韓国株の前日比 − KOSPIの前日比)− 日本株の前日比

韓国市場全体の動きを差し引く

出所:株探、Daum金融(韓国株は正規取引終値、KOSPIは日次終値)、2026年11月2日終値時点

日韓共通の取引日である11月2日(10月30日終値からの変化)で計算した例です。この日のKOSPIは+2.24%でした。

  • 鉄鋼:POSCOホールディングス+3.47%、日本製鉄+0.12%。単純な差は+3.35%ポイントですが、KOSPIを差し引くと+1.11%ポイントです。
  • 自動車:現代自動車+1.77%、トヨタ自動車−0.62%。単純な差は+2.39%ポイントですが、KOSPIを差し引くと+0.15%ポイントです。

このように、同じ日でも単純な差とKOSPIを差し引いた差は、値が大きく違うことがあります。これは計算の手順を示す1日分の例で、仮説の判定ではありません。

日本にもTOPIX(東証株価指数)という市場全体の指数があります(日本取引所グループ)。ただ、このブログが記録している指標には今のところ日本の株価指数が入っていないため、日本株の側は市場全体の動きを差し引いていません。片側だけを調整した値なので、単純な差と並べ、2つがどれだけ違うかも記録しています。

読むときの注意

  • 株価と為替の時刻が違う:東京証券取引所の取引時間は9時〜11時30分と12時30分〜15時30分(日本取引所グループ)、韓国取引所の正規の取引時間も9時〜15時30分(韓国時間、韓国取引所)です。ハナ銀行は同じ日のレートを回次ごとに何度も告示しており、公式の照会画面でも「最初・現在・最終」の回次を選べます(ハナ銀行)。このブログは原則としてその日の最後の告示を、回次・時刻とともに記録しています。株式の終値(15時30分)とは時刻が違う値です。
  • 日韓共通の取引日だけ:どちらかが休場の日は比べません。11月3日は日本が文化の日で休場のため(日本取引所グループ)、11月2日の次は、日韓がともに開く日と比べます(理由は第1回で説明しています)。
  • 韓国株は正規取引終値:時間外取引の価格は混ぜていません。

日韓を一緒に見ると

週刊レポートでは、円/ウォンの1週間の変化が±0.5%以上だった週に、鉄鋼と自動車それぞれの「KOSPIを差し引いた差」が円/ウォンと同じ向きだったかを記録します(単純な差も並べます)。8週間のうち6週以上で同じ向きなら、つながりがあると判定する決まりです。それだけの記録がたまるまでは、記録だけを続けます。

円/ウォンの手前には、「ドル高になると円/ウォンの数字が大きくなる」というつながりを、同じ仮説の手前のつながりとして記録しています。韓国の自動車株だけ、日本の自動車株だけでは見えにくい為替の影響を、日韓の組と市場全体の調整で切り分けていくのが、このテーマのねらいです。

まとめ

  • 「100円=○○ウォン」は数字が大きいほど円高・ウォン安で、円とウォンのどちらがドルに対して動いても変わります。
  • トヨタ自動車と現代自動車は、決算で為替を利益が動いた理由の一つに挙げています。
  • このブログは日韓の同業を組にした「差」で見ており、韓国市場全体(KOSPI)の動きを差し引いた差を主に使います。11月2日の例では、差し引くと差は小さくなりました。
  • 「円高・ウォン安の日に韓国側が相対的に強くなる」は仮説で、2026年11月3日時点では判定前です。

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出所


筆者の保有:なし

本記事は個人が公開資料をもとにまとめた解説であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。